アニメ・漫画「ぼくらの」に学ぶ人間論①〜コダマ編〜(ネタバレあり)

 

ここ最近あって、久しぶりに大好きなアニメの一つである「ぼくらの」を1話目から観てみた。

 

2クールあったので、24話。

 

昔、このアニメにハマって原作の漫画も集めたくらいだ。

 

最初に観たのは10年ほど前。

 

たまたま夜中にやっていて、背景の絵が綺麗だなーと思って見入ってしまってから。

 

それはダイチ編で、声優が杉田智和だったこともあり、テンションが上がった。

 

終わってから気になって調べてみると、一度の戦闘ごとにパイロットは死ぬというヘビーな内容。

 

鬱エンドとかそういうのが大好きな陰湿な俺は、その設定だけで惹きつけられた。

 

DVDをレンタルして、一話目から観た。

 

最初の感想は、声優が豪華すぎるという声豚的なものだった。

 

阪口大助に、保志総一朗宮田幸季石田彰野島健児

 

チョイ役で鈴村健一に、中村悠一。あと菅生隆之とか。

 

今回見返してみて知ったが、浅沼晋太郎も出てて驚いた。

 

このアニメはロボットを媒体にしているが、完全に人間ドラマだ。

 

そもそものテーマが重い。

 

ロボットに乗って、戦いの後に死ぬ運命をどう受け入れていくのか。

 

それが課されるのは中学生。

 

しかも地球の運命だとか、政治的なものにも巻き込まれる。

 

親との確執だったり、いじめへの葛藤だったり、滾る性欲だったり。

 

人間模様があまりにも重すぎる。

 

作者絶対病んでる。

 

途中まで分からないが、戦ってる相手もまた、同じ人間。

 

戦わないことを選択しても、互の平行線軸の宇宙が消えるという。

 

人の命を奪って、こちらの地球を守り、自分だけ死ぬか。

 

負けて、こちらの地球もろとも死ぬか、の選択しか与えられない。

 

ヘビーすぎる。

 

とりあえず今は「ぼくらの」への愛が強すぎるので、特筆すべきキャラを書き出してみようと思う。

 

ちなみにアニメ版は、原作の途中で始まったので、途中から完全にオリジナルストーリーだ。

 

 

最初に書くのは、コダマ。

 

声優が保志くんなところもあり、好き。

 

それだけじゃなくて、中二病の完全なる発症者で、発言や行動なんかもいちいち中二病

 

このキャラがあまりにも中学生の時の俺にかぶりすぎてて好き。

 

普通に考えたら、いじめられたり、嫌われたりするような性格してる。

 

まっとうな考え方をしてる兄貴達からはよく怒られてるが、世間的に見て悪者の親父を尊敬してるところはきちんと現実主義。

 

若い時の俺の思考なら完全に正義感を振りかざして、この考え方は間違ってる!とか言ってたかもしれないが、至って人間の強弱についてしっかりとらえているキャラだ。

 

実際に正義感や、正しいことだけで飯は食っていけない。

 

綺麗事をほざく前に、生きることを選択し、そのために効率のいい方法を探しているだけなのだ。

 

たしかにそこが人道的なものだったり、モラルの観点から見るとずれることはあると思うが、あくまで正解をひとつに絞ってはいけないと思う。

 

結局のところ、コダマ編で描きたかったのは「この地球上では強者が弱者を食い物にしている事実があるということ」のように感じた。

 

そして上記のそれに関して「悪いこと」とか「いいこと」という概念を介入させずに、だ。

 

むしろ食物連鎖という観点から見ると、悪いことは何らないはずだ。

 

最初の1話目(いわゆるキャラ紹介の側面が強い)で彼は、カニを花火で焼き殺している。 

 

女子陣には総スカンをくらい、まっとうな男子陣には少し呆れられたりしている。

 

もちろん男子の中には同調するやつもいるわけだが、こいつの場合はいじめすらも外野からただ見てるだけの中途半端なやつである。

 

コダマの場合は「どうせ死にそう(そんな運命)だったから、やっても大丈夫」と開き直っている。

 

彼は悪口を言われても、彼なりの意見を突き通すわけだ。

 

そして、そのカニと同じようにロボットでの戦い時に、民間人を躊躇いもなく踏み潰す。

 

何人だったかは覚えてないが、一億人が助かるなら、目の前の1000人くらい死んだってどうってことないというえげつない開き直りっぷり。

 

逆を言うと、ここまで開き直れるのだからメンタルは相当強いはず。

 

死んでしまう人間を「そいつはそこで死ぬ運命だったんだから仕方ない」と切り捨てる。

 

本質的に人間の中には、自分に無関係な人間はどうでもいい、という心理があるはずだ。

 

それは言葉にすると冷たく感じられるが、おそらく戦争においては完全に有利に働くし、一番現実を見ている。

 

しかしその直後、自分の大好きな親父さんを自分のミスで殺してしまって、完全に動揺してる。

 

でも、そこも可愛い。

 

本人の言う言葉を使えば、親父さんも「そこで死ぬ運命だった」というところが皮肉にほかならない。

 

自分の大事な人が死んだら取り乱すところは、あまりにも愚かと言える。

 

自分が踏み潰した人たちにも大事な人はいたし、誰かにとって大事な人はいたはずなのだから。

 

彼はおそらく、そこを履き違えているというか、中学生ながらの中二病を発揮しすぎたのだった。

 

誰かを守る、ということの意味を知らないままだったのだ。

 

 

コダマの場合、二人目で死んでしまうキャラなので、自分が死ぬということを知らない。

 

彼がもし後回しで、そこに向き合った時、どんな答えを出したかみてみたい。

 

小説版では死ぬ順番も登場キャラも違うため、人間的に成長するコダマが見れるらしい。

 

この熱のあるうちに読んでみたいところだ。

 

アニメは、まだ原作に準じているところなので、原作の漫画版とはほとんど変わらない。

 

昔、バンドをしていたときに、このコダマから名前をとってつけたことがあった。

 

自分にとってもすごく特別なキャラであることを思い出せた。

 

 

今回はここまで。