ヴィレヴァン、ドラマ化おめでとう。

皆さんはヴィレッジヴァンガードというお店をご存知だろうか。

 

きっと今の時代、ヴィレッジヴァンガード(以下ビレバン)を知っている人はとても多いと思う。

 

俺がまだ高校生の頃は周りにも浸透してなくて、知る人ぞ知るみたいな隠れた名店だった。

 

若者にも、個性的な人にも大人気なあの店。

 

少し変なものを扱ってたりするあの店。

 

休みの日とかについつい行きたくなっちゃうようなあの店。

 

わざわざドラマ化したことを記事にしなくても…みたいな話ではあるが、実は俺自身がなにげにとんでもないほどに感慨深くなっている。

 

というのも、実は過去にヴィレヴァンで働いたことが、2回もあるからだ。

 

店舗は違えど、完全に辞めてからまた働いたことがある人は珍しいのではないか、と思う。

 

少し前にブラックな職場で働いてたことを書いた。

 

その中でも語った、「職場に望むのは髪色自由のみ」ということを難なくクリアーするお店…その一つにビレバンがある。

 

昔から服装も髪型も奇抜なものを好んでいた俺は「ビレバンで働いてそう」なんて言われることも少なくなかった。

 

髪色が自由なことに加え、ヘンテコな商品に囲まれるのが楽しそうな感じがして、一度は働きたいと思っていた。

 

むしろそんなふうに思ってしまう若者は多いと思う。

 

ヴィレヴァンは店にもよるが、基本的にバイトを募集していることが多い。

 

あんな幸せそうな空間なのに、なぜ辞める人が…?

 

なんて若い頃は思っていたが、そこにはいくつかの理由がある。

 

働いてみないと分からない、そんな感じでもある。

 

俺は今でもビレバンが大好きだし、よくいろんな店舗をぶらぶらしている。

 

 

だからここに書く記事が悪口でないことだけは、しっかりと理解してから先を読んでいただきたい。

 

 

最初に働いたのは6年ほど前で、2回目は10ヶ月ほど前だ。

 

2回目の時は、時間が経っていたのもあってシステム()も少し変わっていた。

 

2回目の面接の時に店長に言われた採用の理由は「経験者だからじゃなくて、こんなにビレバン好きな人はあんまり見たことないから」だった。

 

実際にビレバンは外から見るとある意味で華々しく見える。

 

少し角度は違うが、ホストの世界が外側はキラキラして見え、中はドス黒い感じに似ているように思う。

 

まあ、要は中と外のギャップみたいなものなんだけど、ビレバンもその例に漏れず。

 

中に入ると、なんとなく見えてくるものがある。

 

それは信仰心に似たもの”と俺は呼んでいる。

 

昔から、何かに盲信している人は少し苦手だ。

 

音楽でも芸能人でも宗教でも、その一つにのめり込む人は「自分の正義」しか貫かない。

 

 

最初に言うと、ビレバンは給料が安い。

 

ただ、俺は別にそこに関しては何の問題もない。

 

ブラックな会社かどうか、を決めるのはいわゆる「賃金の高低」ではない。

 

その給料が気に入らなければ、別の働き口を探せばいいだけなのだ。

 

しかし、ビレバンのスタッフには少なからず「ビレバンが大好きだから」というスタッフが存在する。

 

こういう人は信仰心に飲まれている、と俺は思う。

 

そして好きの状態で働く期間が長ければ長いほど、好きの振り幅は大きくなる。

 

合わないとか、それが好き、を貫けなかったりする場合はすぐ辞めてしまう人が多い。

 

長く働いている人の多くは、信仰心にも似たものを持っている場合が多い。

 

もちろん全員が全員じゃない。

 

自分にとっての働きやすさだったり、都合のつき方だったり、人間関係が楽しいとか、そういうので続ける人ももちろんいる。

 

しかし、そういう人はだいたいが学生だったりとか主婦だとかで、「他に背負うものを持っている人」だ。

 

 

外からは楽しそうに見えても案外と中がドス黒く感じるのは、やはり人間関係。

 

そして「好きなこと」がそのまま仕事になったわけではないということを知ってしまう、そんな現実である。

 

ビレバンがいくら外から楽しそうに見えても、それは仕事だ。

 

悪ふざけのまま働くわけにもいかないし、もちろんロックに働くことはできない。

 

もちろん仕事は真面目に働くものであるとは思う。

 

楽しいものに囲まれてるのは、最初はいいんだと思う。

 

でもそれだけじゃ、会社は回ってくれない。

 

コンビニのように品出しも、陳列も接客もある。

 

それが仕事だからだ。

 

案外、働いているうちに「やってることは普通の仕事」だと気づく。

 

たいしてコンビニやスーパーの店員がやっていることと大差はないのだ。

 

これはシフトにたまに入るバイト、くらいの立場だと気づかないままでもいることができる。

 

上でも書いたとおり、背負うものが少ないからだ。

 

しかし、立場が変わってくるとそうはいかない。

 

何が流行ってるとか、何が売れるとか戦略を持って、常に仕事目線ですべて見なければならない。

 

それが仕事だ!と言われると、もちろんそうだから仕方がない。

 

だが、見たことはないだろうか?

 

お店でやつれて死にそうな目をしているスタッフさんを。

 

その人は店長や、店長に近い存在であることは間違いない。

 

店や、自分のためにシフトも無理をしたり、寝れずに仕事のことだけを考えたり。

 

もちろん普通の信仰心だけじゃそれは続かないし、逃げ出せはする。

 

しかし、日本の常識とやらが作り上げてしまった「正社員になると安定した人生がある」という風潮により、自ら逃げ道を狭めてしまう。

 

 こんなことを書いているが、働く本人がそれで幸せならそれに越したことはない。

 

だけど、それで死にそうな顔をしている人は、一度自らを省みてほしいと思う。

 

実際にそんな顔をしている人もいる。

 

あの華やかに楽しそうな商品に囲まれていると、外側からはそんなふうに見えないかだら。

 

俺は内側にいて、そういう人を見てきた。

 

責任感も強いし、しっかり仕事をする、そしてそれで正社員になるために頑張り続ける。

 

だが、そのためにはいろんな課題をクリアーしなければならないし、すぐに正社員になれるわけでもない。

 

そこで折れたら自分のやってきたことが無駄になるから、と正社員ではないのに長年働いている人もいる。

 

クリアーできないのは自分のせいだ、と自己嫌悪にもなるだろう。

 

でもそれほど皆にとっては魅力なのだ。その正社員とやらが。

 

 

ビレバンにはいろんな”余力(余分な力)”みたいなものが、他より強く集う。

 

それは何かと言うと「絶対的に必要ではないもの」。

 

特にビレバンに置いてある商品なんて、機能性や金額で見て、絶対に他で安く買える商品ばかりだ。

 

面白い雑貨を扱っているから、それは当然なのだけれど。

 

例を言うなら、人より目立ちたいとか、一目置かれたいとか思う中学生は多いと思う。

 

そのために筆箱だったり、タオルだったり、傘だったり、ヘンテコなものに魅力を感じてお金を使う。

 

それが”余力”だ。

 

実際、もっと質が良くて、安いものを探したらたくさん出てくる。

 

だが、人はそれで満足しない。

 

そもそも客という立場が、そのスタートだ。

 

休みの日や仕事終わりに、余った時間で店に行く。

 

そして、普段使わなかった余ったお金を使う。

 

これはもちろんビレバンにも限らずなのだが、一見ふざけた商品が多いビレバンではそれが顕著に表れる。

 

買わなくても全然余裕で生きていける、楽しんでいけるものなのに、それを落としやすい。

 

これはビジネスとしての形ではまさに理想なのだと思う。

 

菊池会長(ビレバンの偉い人)の作り上げた、最強の土台としか言い様がない。

 

この偉い人、本も出してるくらいの人だから気になったら読んでみるといい。

 

 

ビレバンの内側について書いてきたが、ビレバンがここまで認知されるようになったのもきっと創設者である菊池会長が弛まずに走り続けてきたからだと思う。

 

今ほど有名じゃなかった頃なんて、今の時代みたいに受け入れられてなくて、変人の集うお店…みたいな時期もあったはずだ。

 

それでも一生懸命にエンターテイナーとして、プライドを持って走り続けてきた。

 

そこに狂気を感じるし、成功するための法則を真に理解していたのだな、と思う。

 

その結果、今ではビレバンをオマージュする店は多い。

 

東京に住んでいた時に働いていたゲーム屋はポップや売り方だけではなく、社員契約のシステムとかも真似ていたくらいだ。

 

休みの日にビレバンに行くことを勧められたりした。

 

矛盾しているように見えるだろうが、ビレバンにかける愛情は幸い俺のほうがあるけども。

 

この記事を書きながら改めて思った。

 

俺はビレバンを叩きたいわけでもないし、ビジネスとしてみるなら本当に素晴らしいものなのだと思う。

 

昨日も実は行ってきたし。

 

固定ファンができること、これが大事なのは言うまでもない。

 

固定ファンの積み重ねの結果が、今のビレバンを作ってる。

 

 

一回上げてしまったんで、少し悪い面も書く。

 

最古参スタッフのご機嫌取りになることも多い、というところはデメリットの一つ。

 

古参のスタッフは、店長やマネージャーより歴が長い場合があり、偉い人とも付き合いがある。

 

その結果、ワガママが通りやすいポジションにいるわけだ。

 

これはやはりその人にもプライドがあるからだし、そのせいで店長と揉めるとかよく聞くし、何となくやりにくい感じが出てくる。

 

特に新人は、その空気に入れないから余計に思うことだろう。

 

ドラマでは、最上もががその古参の役割を担うようだが現実ではそんな都合よくいかないよ、ってことになる気がしてる。

 

だって仕事だもん。

 

でも正直、キャスティングは本当にすごいビレバン感のある人を揃えたなって感心。

 

でんぱ組の時からずっとビレバンと絡みがあった最上もが出されたら、もう本当にビレバンじゃんって。

 

 

褒めたいのか、貶したいのか、何が言いたいんだって感じで書いてきたけど、まだまだある。

 

まあ、悪口言ってても仕方ないしね。

 

給料安いとか、仕事内容が合わない、シフトがきつい、とかなら他の仕事場探せばいいだけで。

 

実際に聞いたり、実際に体験してみると思うのが、ビレバンの場合はブラックを自分で作ってしまうこと。

 

やっぱり大企業になっちゃったからってのもあるんだけど、基本的にビレバンという企業自体はブラックではないように思う。

 

きちんと定時であがることも可能なわけで。(もちろん繁忙期は少し事情も変わるが、それはどこでも同じだし、完全ホワイトの会社のが少ないと思う)

 

正社員になりたいからって、自分の器量を上回ることやったりとか、睡眠取らずに体を犠牲にしてしまう真面目な人がいるということ。

 

頼まれたら断れないほどの優しさが、利用されてしまうことが多いということ。

 

それを誰かに伝える術が少ないということ。

 

会社自体はブラックではないけど、人の心がすり減るから、ブラックと感じても仕方ないのかもしれない。

 

実際にすごく楽しく働いてる人もいるわけだから、それまで否定するつもりはないけどね。

 

キツくても、それが楽しくて、人の笑顔見て笑顔になれて、そして「ここで働いててよかった!」って人もいたから。

 

あの笑顔は本当に素敵だった。

 

 

こんな俺にも願うことがある。

 

ドラマの影響もあって、これから興味がなかった人もビレバンに興味が出てくるし、実際にCMでもバイトの募集を促してたくらいだから、いろんな層が知ることになるだろう。

 

こういった店員さんに労う気持ちを持つ人が増えてほしい、ということだ。

 

別にビレバンに限った事じゃない。

 

いろんな人はミスもすれば、怒られることだってある。

 

だけど、必死に働いている人にクレームを出すのが趣味のような生き方をしている人がいるのは見るに堪えない。

 

どの仕事がドラマ化されたとして、ドラマのように上手くいくわけない、もっと泥臭い世界だ。

 

ビレバンで必死に生きてる人、頑張ってる人たちを見てきた。

 

正社員になるのを諦めた人もたくさんいる。

 

店長や正社員候補の人は、おそらく会社の完全なる方針で、県外から来ている人だらけだ。

 

友達もいない辺境の地で、スタッフに馴染めなかったり、馴染めるように頑張ったり、しなくてもいい苦労を選んで生きている。

 

そして働いている。

 

それはやっぱりビレバンが好きで、そこで生きていきたいというものが根本にあるからだと思う。

 

そんな人たちの気持ちを踏みにじらないような会社であってほしい。

 

みんな、ビレバンを愛しているのだから。

 

俺はもう外側からしか見ないけど、やっぱり大好きだよ、ビレバン

 

そして、ビレバンで働く方々も、お疲れ様です。

 

ヴィレヴァン、本当にドラマ化おめでとう。

 

 

 

去年働いてた時の画像あったから載せとこう。

 

ハロウィンの仮装してた時だったから、少し恥ずかしいけど。笑 

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