生田斗真主演の映画「脳男」を観たけどグロとかじゃなく、マジで吐いた話(ネタバレ注意)

昔から生田斗真が好きだ。

 

イケメンが好きなのもあるが、夜職の時にたまに似てると言われていたのも理由の一つではある。

 

久しぶりに生田斗真主演の「土竜の唄」をレンタルしたついでに、昔から気になっていた脳男もレンタルした。

 

土竜の唄のヤンキーチックな雰囲気と違って、このアンニュイな感じがとても似合うのも生田斗真ならでは、である。

 

イメージしていた通り、冒頭から暗い。

 

こういった暗い雰囲気の映画は大好きだ。

 

最初の方から、バスが爆発して、子供が燃えてるシーンは胸にくるものがある。

 

とはいえ、その特殊メイクが何か怖い。

 

子供を被害にあわせる映画って、日本じゃつくりにくいだろうし、全体的に空気の重さも日本向けじゃないのはたしかだと思った。

 

あと、出演してる人たちの演技が心に直接ぶつかってくるのが、良くも悪くもキツイ。

 

少し前にDMCを観てたから、松雪泰子もさすがだなあ、と思いながら見入っていると、江口洋介も出てて、まさに出演してる人たちからして本気で作りこまれているのが分かる。

 

あと、生田斗真が出てくるのが遅い。

 

それと、途中までまともに喋らないから、てっきり敵なのかと思わせられてしまった。

 

見事に騙された。

 

この作品での敵といえば、二階堂ふみ

 

彼女をあまりスクリーンで観たことがなかったが、もう役の入り方がえげつない。

 

宮崎あおい2と個人的に思ってたけど、宮崎あおいより出てる作品は面白い。

 

ちなみにどうでもいいが、宮崎あおいが出てた「青い車」という映画は、個人的にワースト3に入るほどの駄作だった。

 

あと、後半「爆発させとけ」みたいな感じで爆弾が爆発しまくるんだけど、あれは少し厄介だった。

 

爆発のシーンは何となく音も大きいし、

 

あ、爆発した、この人死んじゃうのかな?→うわあ…

 

みたいな流れが少し脳内で厄介だ。

 

後半はトイレを我慢しながらだったので余計に辛かった。

 

ちなみに何で、この映画をブログに書こうと思ったかというと、今まであまり体験したことがなかったことが身に起こったからだ。

 

 

 

前回体験したのは、ゲーム「SIREN2」をクリアしたときだから、17〜8歳位の頃だと記憶している。(15年ほど前)

 

永井頼人というキャラのエンディングにて起こる、世界の反転による世界を見た永井頼人が発狂するシーン。

 

あの時に「正しい行いが人を救うわけではない」と刻みつけられた。

 

そして、どう考えてもメンタルブレイクとしか言いようのないことが起こった。

 

圧倒的な虚無感、圧倒的な孤独感。

 

何をしても救われないという、絶望感。

 

そんな負のエネルギーを身と心に、永続的に刻みつけられる感じ。

 

身体的に言えば、インフルエンザの時に毛布を着込んでも寒い、みたいな感覚が心で起こる。

 

永遠に降りていくかのような、らせん状のネガティブ。

 

ある意味、身体的なダメージより深刻な気がする。

 

このゲームのエンディングを見たときは、2日間ほどまともにご飯が食べれないという状況に陥ったくらいだった。

 

元々当時は中二病全開で、俺に感情はないなんて思ってた時期だったから、こんなえげつないストーリーを考えられる人がこの世にいることが信じれなかった。

 

 

さて話を戻すと、脳男にて江口洋介演じる刑事の部下が身体に爆弾を巻きつけられているところのシーンである。

 

生田斗真演じる一郎を、ピストルで撃ち殺せば部下は助けられると聞き、銃口を向ける。

 

その戦闘の最中、その部下は自分がもう助からないことを悟って「俺が死ぬから、やめて」と泣きながら横に倒れ爆弾が爆発する。

 

自殺を選んでしまったわけだが、そのシーンを観てから、胸が締め付けられた。

 

崩れ落ちる江口洋介の演技も相まったのはあるが。

 

俺はそれを観たあと、トイレに行って吐いた。

 

上で話したようなネガティブが、今度は胃まで侵食してきたらしい。

 

その後もそのシーンが忘れられず、ただモヤモヤが残ったままだった。

 

 というかあのシーンが焼き付きすぎて離れない。

 

危うく二階堂ふみ嫌いになるとこだった。

 

でもあの演技もすごいし、狂気が伝わってくる。

 

やっぱり役者さんってすごいなあ。

 

 

この映画を通して、生田斗真が演じるキャラは、実は生粋の善人である。

 

そこが最初の方から悪人だと錯覚を起こしてしまうように描かれているのはさすがとしか言い様がない。

 

だが、その善は本当に正しいのか?という問いかけによって締めくくられる。

 

これは「バトルロワイヤル2」とか「デスノート」にて描かれているもののように感じる。

 

力を持って、常識を持って、間違いを正すとしても、そのために人を人が裁くのはどうか、という永遠のテーマである。

 

正義は角度を変える。

 

この「脳男」でいうのであれば、精神科医や警察からしたら、結局は一般の人間である主人公が人をその手で殺すことは悪にしかとらえられないのである。

 

それを正義と主張しないのが、この生田斗真の役の面白いところだが。

 

しかもこの映画は、あまりハッピーエンドでも終わらない。

 

殺したいほど憎い人物を許し、更正させたはずだったのに、結局その人物は更生しておらず、その悪を暴かれ主人公によって殺されることになる。

 

社会的に見たら、それは悪に映る。

 

しかし、救われた人からしたらどうなのだろうか。

 

その死によって救われた人がいた。

 

何を守ればいいのだろう。

 

自分の命が脅かされたとき、同じことを人間は言えるのだろうか。

 

 

デスノートで、キラがやっていたことを支持する人間がいたのも当たり前だ。

 

悪とする一方で、正義と称える人もいる。

 

その裁きを下す権利を持ち合わせていないのは、事実だが「正義」という線引きは曖昧すぎるのだ。

 

そして、これからも人が人である限り、それは消えることはない。

 

人間に与えられた永遠のテーマである。

 

人を許すことは、人を殺すより難しいから。

 

その強さも正しいのか。

 

そして、角度も変えるのか。

 

このモヤモヤがとれないのが、すごくもどかしい。

 

 

最後に言っておくと、脳男というタイトルの割に頭脳戦はほとんどない。笑